【コーヒー豆の熟成 vs 焙煎したて】どっちが美味しい?
コーヒーをより美味しく味わうために、多くの人が意識するのが“鮮度”です。
「焙煎したてが一番美味しい」「とにかく新しいほうが良い」と思われがちですが、実はコーヒーには焙煎後に“ピーク”を迎えるタイミングがあります。
焙煎度合いや豆の個性によって、そのピークのタイミングは異なり、焙煎後すぐよりも数日寝かせたほうが香味が安定することもあります。
コーヒーの味は時間とともに変化する
コーヒーの味は、「香り」「コク」「苦み」「甘味」「酸味」など、さまざまな要素で成り立っています。
これらのバランスは時間とともに変化し、それぞれの要素の微妙な配分が、コーヒーの個性を生み出します。
焙煎直後のコーヒーの特徴
焙煎したてのコーヒー豆は香りが立ちやすく、インパクトのある風味が特徴です。
ただし、二酸化炭素(ガス)を多く含んでおり、味が不安定になりやすく、雑味や酸味が強く感じられることもあります。
熟成(エイジング)による変化
焙煎後にしばらく寝かせることで、ガスが抜けて味のバランスが整い、まろやかな風味に変化していきます。
以下は、焙煎後の日数ごとの味わいの変化です。
● 焙煎から3日後
- ライトでクリアな味わい
- それぞれの味の要素が独立して感じられる
- 風味に硬さがあり、全体的にフラット
- ドリップ時に豆が大きく膨らむが、お湯とのなじみは弱め
● 焙煎から3日〜10日後
- 苦味・酸味・甘味・コクが調和し始める
- お湯なじみが良くなり、旨みが引き出される
- フレッシュ感があり、余韻にも爽快さがある
● 焙煎から10日〜20日後
- 浅煎り:フルーティで芳醇な香りが増す
- 中深煎り・深煎り:コクとマイルドな苦味が強調される
- 抽出で奥行きのある味わいが楽しめる
● 焙煎から20日〜1ヶ月後
- 完熟果実のような、複雑で繊細な風味
- 全体的にまろやかで、深くどっしりとした余韻
- 抽出時は蒸らしを短くし、全体にお湯が行き渡るように
注意点とポイント
- 熟成の進み方は、豆の個性・焙煎度・焙煎機の種類によって異なります
- 時間が経つと「酸化」も進むため、劣化を抑える保存が重要
- 熟成は「豆の状態」で保管した場合の話。粉にすると熟成は進まず、酸化が早くなる
- 粉にした場合は、密閉容器に入れ冷凍保存し、1ヶ月以内の消費をおすすめ
コーヒー豆の熟成 vs 焙煎したて、どっちが好み?
「コーヒーは鮮度が命」とよく言われますが、必ずしも焙煎直後が最高というわけではありません。
豆の種類、焙煎度、抽出方法、そして何より“あなたの好み”によってベストなタイミングは異なります。
スペシャルティコーヒーの魅力は、その風味の豊かさと繊細さ。
そしてその魅力は、焙煎したての瞬間だけでなく、数日経って落ち着いた頃に、最もよく引き出されることが多いのです。
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